SERVICES診療内容

当クリニックでは、うつ病などの気分の病気、パニック障害・対人緊張などの不安の病気、ADHDをはじめとする発達障害など幅広く精神疾患の治療を行っており、認知症など老年期の精神障害の治療も熱心に取り組んでおります。
また、ストレスの影響で倦怠感・痛みや動悸などの辛い身体の症状でお困りの場合なども、積極的に診療しております。
患者様のお話をしっかりとお聞きした上で、診断基準を元に的確な診断を行い、根拠に基づいた適切な治療選択肢をご提案させていただきます。
うつ病(気分障害)について
うつ病(気分障害)は、脳内の神経伝達物質のアンバランスにより、気分や感情をうまく調節できなくなり、心身の不調が表れる病気です。抑うつ気分や抑制症状が長引き、「眠れない」「食べられない」などのつらい状態が続くため、徐々に日常生活に大きな支障をきたしてしまいます。こじれると自ら死を選んでしまうこともあり、早期診断・早期治療的支援が望まれます。
うつ病(気分障害)は、適切に診断・治療すれば完治する病気です。
以下のような症状が1~2週間以上続く場合、早めの受診・相談をされることをおすすめ致します。
- 心に現れる症状
- 好きだった事への興味や楽しみがなくなる
- 新聞やテレビを見なくなる
- 人付き合いが嫌になる
- 仕事が急に遅くなる
- 身だしなみがだらしなくなる
- ゆううつな気分や気持ちの落ち込みが続く
- 過去の出来事を思い出して悩む
- 季節感が感じられなくなる
- 将来への希望がなくなり、悲観的に考えるようになる
- 焦ってイライラする
- 何でも自分の責任だと感じてしまう
- 集中力がなくなり、能率が低下する
- 物事の判断が遅くなり、自分で決断できなくなる など
- 身体に表れる症状
- 食欲がわかず、食べ物がおいしく感じられなくなる
- 性的関心や性欲が極端に落ちる
- ダイエットをしているわけでもないのに、体重が減少する
- 胃もたれ、吐き気、下痢、便秘などの胃腸症状が続く
- 眠りが浅くなったり、早朝に目覚めたりすることが続く
- 微熱や低体温が続く
- 体がだるい、疲れやすい、億劫さが強い
- 時々めまいや耳鳴りの症状がある
- 周りの音が気になってビクビクしてしまう など
不眠症について
不眠症とは睡眠時間の長さではなく、目覚めた際のだるさや眠気、日常生活の中で支障をきたしてしまう症状を指します。仮に、睡眠時間が短くても目覚めが爽快であり、日常生活に支障がなければ不眠ということにはなりません。
現在不眠症の患者様は日本では5人に1人の割合だと言われていますが、年齢を重ねるに従い、不眠症の割合は高くなってゆくといわれています。不眠症が続くと、日常生活を送る上で多くの支障をきたします。具体的には下記のような影響が考えられます。
- 不眠症の影響
- 集中力、記憶力、注意力、判断力の低下
- 仕事や運転中のミス
- イライラ感・ソワソワ感・焦燥感
- 緊張、頭痛、胃腸の違和感などの身体症状
- 日中の眠気
- 倦怠感あるいは不定愁訴
- やる気が出ない
適応障害について
適応障害とは、自分のまわりの社会環境にうまく馴染むことができず、ストレスを抱えることによって、心と身体の両方に様々な症状があらわれてくる状態をさします。環境と個人の資質とのミスマッチが原因ならば、どんな人にも起こりうるといえましょう。
入学・就職・引っ越し・結婚など、身の回りの環境が変化した際にうまくいかないと、それぞれ不登校、職場不適応、家庭では別居あるいは離婚などといった形で現れます。
- 心に現れる症状
- 何事にも不安になる
- 気分が落ち込み、抑うつになる
- 焦りやすく、焦燥感が強くなる
- 感覚が過敏になる
- 身体に表れる症状
- 眠れなくなる、眠ってもすぐ目が覚める
- 食欲不振
- 胸がどきどきする、苦しくなる、息切れ、動悸
- だるい、疲れやすい
- 頭痛、肩こり、腹痛など
対人緊張症について
人前に出ると「恥ずかしい思いをするのではないか」と不安になったり、緊張してしまうことは誰もが経験したことがあるでしょう。
通常であればそれはごく自然なことなのですが、対人緊張症(社交不安障害、SAD)は、人からどのように見られているのかを必要以上に気にしてしまう病気で、不安や緊張の度合いが大きく紅潮や発汗、ふるえ、腹痛などの症状が現れる場合があります。
また、このような症状がまた出てしまうのではないかという不安が強くなって、人が集まる場所を避けるようになります。その結果、学業や就業、さらには結婚などの社会生活に大きな問題を抱えてしまいます。以下のような状況が耐え難く、そのような状況をできるだけ避けようとすることが特徴です。
- 耐えがたい具体的な状況
- 会議中(特に自分の報告・発表など)
- 上司やあまり面識のない人との会話の時
- 人前で何かをする時
- 試験や仕事の面接を受けている時 など
パニック障害について
パニック障害は、突然何のきっかけもなく心臓がドキドキしたり、息苦しくなったり、めまいなどの身体症状を伴う、耐え難い発作が起きる精神疾患で、軽いものまで含めると、非常に多くの方がこの障害に悩んでいます。
発作がおさまると症状は見られなくなり、検査をしても異常は見つかりません。しかしパニック障害の症状は反復する傾向があるため、「またあの発作が襲ってくるかもしれない」という予期不安が強くて、一人で外出できなくなったり、電車・バス・飛行機など、公共の乗り物に乗れなくなるなど、日常生活に支障をきたします。
またうつ病・うつ状態を合併することもあり、逆にうつ病がきっかけとなりパニック発作が起きる場合もあります。
放っておいて自然に良くなることはあまり期待できず、多くは良くなったり悪くなったりを繰り返しながら慢性化してしまいますが、早期に治療をすれば完治するものです。お早めにご来院ください。
- 心に現れる症状
- 強い不安感
- 非現実感
- 自分が自分ではない感じがする(離人感)
- このまま死んでしまうのではないかという強い恐怖
- 身体に表れる症状
- 心臓がドキドキする(動悸・心拍数の増加)
- 急に汗が出てとまらない、脂汗が出る
- 身体が震える
- 呼吸が早くなり、息切れや息苦しさがある
- 身体の一部がしびれるたり、うずいたりする
- 悪寒がする、または火照る
- 喉に何か詰まったような窒息感がある
- 胸の痛みや不快感
- 吐き気や腹部の不快感
- めまい、ふらつき、気が遠くなるような感じがする
強迫性障害について
「潔癖症」という言葉を耳にすることが多いと思います。清潔へのこだわりが度を超して長時間手洗いをしたり、消毒液を使いすぎて、逆に肌荒れを起こしたり、日常生活に支障を来すようですとそれは強迫性障害の可能性があります。
また、外出した際 「鍵をかけ忘れたかな?」「コンセントは抜いたかな?」などと不安になり、そんな不安が度を超して何度も繰り返し確認しても安心できず、予定の時間に遅れてしまったり、外出すること自体を諦めてしまったりしてしまったりすることも、強迫行為のひとつです。
強迫性障害の根底には、自分でも「ばかばかしい」「不合理だ」と解っているにもかかわらず、強迫観念が存在しています。そしてその観念がもたらす強い不安を中和するために、強迫行為が現れます。
具体的には、以下のような分類があります。
- 不潔恐怖(潔癖症)
- 手がバイ菌に汚染されているという観念によって何度も執拗に手洗いする。またドアノブなど、人の手が触れた物がバイ菌に汚染されているという恐怖のため触ることが出来ない。
- 確認恐怖(確認癖)
- 戸締まり、ガスの元栓、電気のスイッチなど何度も確認しないと気が済まず、目的の行動が遅くなったり、できなくなったりする。
- 儀式的行為
- 自分で決めた手順で物事を行わないと不吉なことが起きるのではないかという不安・恐怖から、次第に手順が儀式化し、物事が先へ進まない。
- 保存恐怖
- 後で必要になるのではないか不安で、物を捨てられない。不要とわかっていてもため込んでしまう。これが行き過ぎるとゴミ屋敷化してしまう。
発達障害(広汎性発達障害・学習障害/LD・注意欠陥多動性障害/ADHD)について
発達障害とは、主に先天性の脳機能障害が原因となり、乳幼児期に生じる発達の遅れです。症状の特徴によりいくつかに分類されますが、いくつかの発達障害を合併することもあり、知的障害や精神障害が合併していることもあります。
脳機能の障害が原因とされていますが、なぜ脳機能障害が起こるのかということは、はっきりとしていないのが現状です。我が子の発達障害が発覚した際に、自分を責めてしまう親もいますが、しつけや育て方・環境などが原因ではありません。もちろん、本人の怠慢などでもありません。
この病気には、適切な支援が必要です。適切に対処しなければ悪影響を及ぼし、症状が悪くなったり、二次障害を引き起こしたりしてしまいます。お早めに専門医へのご相談をおすすめいたします。
- 広汎性発達障害
- コミュニケーション・対人関係・社会性の障害、行動にパターン化が見られるという特徴があり、自閉症・アスペルガー症候群・トゥレット症候群などがこれにあたります。
- 学習障害(LD)
- 知的な発達に遅れがない場合が多く、聞く・読む・書く・計算するなどの能力の一つまたはいくつかを身につけることに困難が生じます。
- 注意欠陥多動性障害(AD/HD)
- 不注意(集中力がない)・他動性(じっとすることができない)・衝動性(善悪を判断せずに行動してしまう)などの特徴が見られます。
認知症について
記憶力などの知的機能が後天的に低下し、社会生活に支障を来す状態を言います。認知症になられたご本人が自ら医療機関を受診したいと申し出る事は非常にまれです。ご家族が少しでも以前との差を感じたなら、出来るだけ早い段階で医療機関の受診をお勧めします。
どの疾患でもそうですが、進行してしまってから治療を開始するより、初期の段階で手を打つことで予後に大きな差が生じるのです。認知症の場合、ある程度治療によって進行を予防することが可能ですし、介護する人を悩ませる徘徊や興奮などの認知症の心理行動症状を改善することが可能です。
一概に認知症と言っても、「アルツハイマー病型認知症」「レビー小体型認知症」「血管性認知症」など、いくつかのタイプに分類されます。タイプによって症状も治療も異なりますので、まずは一度ご相談ください。
心理検査について
当院では臨床心理士による心理検査を行なっており,積極的に診療に用いております。診断の補助として利用したり,治療効果を判定することに利用することもあります。性格傾向や能力の得意不得意を調べる検査もあり、対人関係の持ちにくさや仕事上での能率の悪さなどへの対策を検討するのに用いることもあります。
当院で行なっている心理検査をご紹介します。詳細は診察でご説明いたしますが、ご質問があれば遠慮なくご相談ください。
- 人格検査(性格傾向などを把握する検査です)
- 新版TEGⅡ
- バウムテスト
- SCT(文章完結テスト)
- PFスタディー
- ロールシャッハテスト
- Five Factor Inventory
- 発達及び知能検査
- WAIS-Ⅲ(成人の知能検査)
- WISC-Ⅳ(小児の知能検査)
- JART(認知症に関連する検査)
- コース立方体組み合わせテスト(小児から成人の知能検査)
- 認知機能検査・その他の心理検査
- SDS(抑うつ検査)
- STAI(不安についての検査)
- ブルドン抹消検査(作業能力などの検査)
- 三宅式記銘力検査
- PARS-TR(広汎性発達障害についての検査)
- MSPA(発達障害の特性別評価法)
- ADAS(認知症の詳細な検査)
- CAARS(成人ADHDの検査)
- SCQ(自閉スペクトラム症についての検査)
- LDI-Q(学習障害についての検査)
- 知的機能検査(HDSR,N式など)
- LSAS-J(社交不安についての検査)
- ADHD-RS(児童期のADHD検査)
- AQーJ(自閉スペクトラム症の検査)
漢方とこころの治療について

漢方は「数ヶ月、数年続けないと効かない」「効果は弱くて、内服しても気休め程度」などの印象をお持ちかもしれませんが、場合によっては劇的な効果が得られます。こころの治療では抑うつ気分、不安、不眠、食欲不振、頭痛などへの効果を期待して用いられるほか、抗不安薬、睡眠薬の減量のために利用したり、薬物の副作用軽減のために利用することもあります。
当院では漢方の有効性を高く評価しており、治療に積極的に用いております。精神科薬物を内服することへ不安をお持ちの方、お子様、妊娠されている方、高齢の方など漢方のみで治療を行うこともあります。当院で用いている代表的な漢方を載せておきます。これ以外にも状態に合わせてご提案しておりますが、漢方についてご相談されたい場合はお気軽にご相談してください。
症状と、その場合に当院で用いることの多い漢方
- 気分の症状に対して
- 柴胡加竜骨牡蛎湯、桂枝加竜骨牡蠣湯、半夏厚朴湯、加味帰脾湯、甘麦大棗湯、柴胡桂枝乾姜湯など
- 不安緊張症状に対して
- 半夏厚朴湯、四逆散、甘麦大棗湯、桂枝加竜骨牡蠣など
- 不眠に対して
- 酸棗仁湯、甘麦大棗湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、抑肝散、抑肝散加陳皮半夏など
- ふらつきめまい
- 苓桂朮甘湯、半夏白朮天麻湯など
- 頻尿
- 八味地黄丸、午車腎気丸
- 過敏性腸症候群
- 桂枝加芍薬湯、桂枝加芍薬大黄湯、大建中湯、半夏瀉心湯
- 更年期障害など
- 加味逍遙散、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、桃核承気湯など
- 食欲不振
- 六君子湯、安中散、補中益気湯など
- 頭痛
- 呉茱萸湯、釣藤散など
- 肩こり
- 葛根湯、桂枝加朮附湯など
- 痛み
- 芍薬甘草湯、治打撲一方など
心療内科と血液検査について

心療内科はこころの診察を受けるところだから、血液検査など体の検査は行われないのでは?」と思われている方がいらっしゃいます。しかし、こころの病気の診断をつけ治療方針をたてるために血液検査は重要であり、当院でも必要に応じて行なっております。
具体的に血液検査を行うのは、薬物治療を開始する前(治療前の全身状態の把握)、3~6ヶ月(場合によっては12ヶ月)毎に行います。これは、薬物治療の体への影響を確認するためでもあり、健康管理のためでもあります。
項目として重要となるのは、甲状腺機能、貧血、各種ホルモン検査などです。甲状腺機能低下症ではうつ病に似た症状がでたり、甲状腺機能亢進症では躁状態に近い症状が出ることもあります。貧血については、倦怠感、意欲低下などが出現することがある上、下肢がムズムズしてじっとしておけないというむずむず脚症候群の原因になることもあります。女性ホルモンを測定することにより、更年期障害を疑うことができます。
その他、心療内科では薬物の血中濃度を測定して、使用量を調整することが必要な薬剤があります。具体的には、躁うつ病のリチウム、バルプロ酸、てんかん治療薬などです(この場合は1月毎に検査することもあります)。また、心の病気の症状により活動性が低下したり、大食してしまうことなどで糖尿病や、脂質異常症になってしまうこともあり、早い段階で血液検査で異常を把握することで、改善をはかることもできます。
このように、血液検査は心療内科でも必須の検査と言っていいと思います。当院でも、できるだけ定期的に検査を行い、皆様の治療と健康管理に務めていきたいと考えております。
睡眠障害と睡眠薬について

こころの不調があるなど様々な理由で、寝付けなかったり、何度も目が覚める、朝早くに目が覚めるなどの睡眠障害が生じることがあります。眠れないことは、それ自体でも苦痛ですが、日中の眠気、集中力の低下などのため日常の生活に支障をきたし、高血圧・糖尿病など身体的な不調をもたらすこともあります。睡眠が不安定な場合、睡眠薬が処方されることがあります。当院でも不眠でお困りの方に睡眠薬を処方しております。
睡眠薬の使用について、たくさんの質問をいただきます。今回は多いご質問への回答をしていきたいと思います。(参考:睡眠障害の対応と治療ガイドライン)
睡眠薬の使用について
- 睡眠導入剤は睡眠薬と異なるのか?
- 睡眠導入剤は睡眠薬の1種です。睡眠薬の中で、睡眠効果が早く持続が短時間のものを導入剤ということが多いです。成分としては同様のものとなっています。
- 睡眠薬を長年飲んでいるとやめられない、認知症になるのではないか?
- 医師の指示通り内服すれば安全です。
「依存性が強い」、「飲み続けているとボケるのではないか」、「命に危険が起きるのではないか」などの誤ったイメージを抱かれている方が多くいらっしゃいます。処方を受ける際に、「あまり長いこと飲まないほうがいいよ」「物忘れが出るよ」など言われて不安になり、不眠の原因が解消しないまま内服を中止してしまう方もおられます。不眠が改善していないのに服薬を中断してしまい、反跳性不眠(服薬開始前よりも強い不眠)を来し、以前よりも不眠や不安が強くなり、精神依存(薬がないと眠れないのではないかと不安になり、薬に頼りたくなる)を形成してしまう要因になっているようです。睡眠薬は、必要最低限の量であれば持続的に利用しても安全な薬とされています。もちろん漫然と薬を続けずに、常に減量・中止が出来ないか検討をすることは重要です。
- 睡眠薬はいつやめられますか?
- 約80%の人が1年以上継続して内服されています。
睡眠薬をやめる基準としては、以下の2つが挙げられます。
(1)不眠とその原因がほぼ改善していること
(2)不眠に対する不安が消失していること
睡眠に対して自信が持てない時には無理に減薬・中止は必要ありません。睡眠を安定させる取り組みを行い、まずは「眠れる」という安心感が得られるように取り組みましょう。
この他にも睡眠障害、睡眠薬でご心配なことがあれば、遠慮なくご相談ください。
妊娠・授乳中のこころの病気とこころの薬について

妊娠・出産は嬉しく幸せな出来事ではありますが、一方で妊娠・出産によるホルモンバランスの変化や、赤ちゃんを家族に迎えるという大きな環境の変化、長く続く育児の身体的・精神的ストレスによって、嬉しいはずなのに落ち込んだり、悲しくなったり、場合によっては赤ちゃんに対して嫌悪感や病的な怒りを感じる状態に陥ることがあります。これは妊娠・産後のうつ病(周産期うつ病)の可能性があります。
周産期うつ病を患われると、母子の間で通常なら行われる愛情的なふれあいが減ったり、それにより子供の発達が遅れることもあります。症状が重くなった場合は拡大自殺(いわゆる無理心中)に至ってしまうこともあるなど、周産期うつ病は重大な病気です。
これまで心療内科の治療を受けておられた方が妊娠した場合、「妊娠したら薬を一切飲んではいけない」と考えて断薬されてしまう方もおられます。これは非常に危険です。ある報告によれば、薬の中断で再発率が68%に上昇してしまうとされています。母親の気分が安定しなければ、妊娠経過に悪影響が出る場合があり、こころの安定を保つことは大変重要なことです。
- お薬を内服中に妊娠に気づいた場合
- 内服している薬物によるお子さんへの影響を心配される方が多いかと思います。
最後の月経から4週間後、つまり次の月経の予定日までは母親と赤ちゃんの栄養のやりとりはありません。母親が内服した薬も赤ちゃんに移行することはありません。このためこの期間にお薬を飲んでいても全く心配する必要はありません。
- 妊娠中のこころの薬について
- 妊娠中にうつ病の状態になっても、「苦痛はあるがなんとか家事など対応できる程度」の状態であればお薬の治療は行わないことが多く、当院では状態に応じて漢方薬などを使用することがあります。一方、「育児を行うことが困難で、赤ちゃんに何も感じなくなったり、傷つけたくなるほどの気持ちが出る場合」は内服をすることが大きな助けになります。いずれの場合も患者様と話し合いつつ、お薬を飲んでいただくメリットと、飲まない場合のデメリットを比べて、お薬を飲んでいただくか決めていくようにしております。
- 授乳中のこころの薬について
- 一般的に、授乳中は薬の治療と母乳育児の併用が推奨されています。
母乳にお薬が移行して、大切な赤ちゃんに影響が出てしまうのではないか、とご心配になられる方が多いかと思います。そのご心配はもっともなものだと思います。一方で、母乳を介して赤ちゃんへ移行する薬物の影響はほとんどないとされています。数種類の注意を要する薬はありますが、実際はほとんどの薬が安全性が高いと言われています。
当院では、妊娠・出産・育児を健康的に楽しめるように、こころを健康に保つための診療、カウンセリングを行なっております。 お気軽にご相談下さい。
訪問看護について

こころの病気の病状によっては家庭での生活に支障がでる場合があります。こころの病気のため外出することが困難であったり、他者とのコミュニケーションが困難となったり、内服治療をうまく継続できない場合などに、自宅へ看護師や作業療法士などが訪問してこころの状態のチェックやケアを行う訪問看護を利用することができます。
当院も訪問看護とチームを組んで診療しております。2018年2月17日には安芸地区の訪問看護ステーション全体の訪問看護師、作業療法士、ケアマネージャー、ヘルパーなどが参加した研修会が開催され、院長も参加し講義をいたしました。どのような取り組みが皆様の生活を支えることにつながるか、活発に意見交換がされました。
訪問看護についてご質問、ご希望のある方はご遠慮なくご相談ください。
行動療法について

電車やバスでは動悸がしたり息がしづらくなり不安で乗れない、美容院や歯医者では椅子の上でじっとしているとなぜか不安でいたたまれなくなる、などの症状で悩まれている方がおられます。これらの症状は、誤った学習(本来不安でないはずの場所で、不安のような感覚や動悸などの体の変化を感じた経験をしたため、その場所では不安になるかもしれない,と「学習」してしまう)の結果であると言われています。
この誤った学習による反応を修正するために行うのが行動療法です。具体的には不安を感じる場に身を置き、その不安に慣れていくという取り組みを行います。無理に行うと逆に不安が強くなることもあります。詳細は診察でご説明いたしますので、行動療法にご興味のある方はお気軽にご相談ください。
認知行動療法について

落ち込む気持ちが強いなどのうつ状態になると、なかなか前向きな考えはできません。仕事について、「うまくいかないかも」「この仕事をやりきる自信がない」など考えてしまうようになりがちです。その他にも「~しないといけない」「これがうまくいかなければ全てダメだ」など極端な考え方になってしまうこともあります。これは認知の偏り・歪みと呼ばれており、うつ状態が長く続く要因にもなっています。
この認知の偏りを和らげるために認知行動療法が行われます。当院でも診察場面やカウンセリングで認知行動療法を行なっております。うつ状態で悩まれている方、ご興味のある方は当院までご相談ください。
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- ご予約・お問い合わせ
- 082-286-2335
- 受診に迷われている方のご相談もお受けしております。
- 診療時間/午前 9:00〜12:30 午後 14:30〜18:00
- 休診日/木曜、土曜午後、日曜、祝日
- ▲…土曜日は午前診療のみとなります。(9:00〜14:00まで)
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〈診療時間〉 月 火 水 木 金 土 午前9:00〜12:30 ◯ ◯ ◯ / ◯ △ 午後14:30〜18:00 ◯ ◯ ◯ / ◯ /